FlashPrint5設定のわかりにくい用語解説
- 追記:2022年03月11日 積層ピッチ
- 追記:2022年03月01日 印刷開始地点
- 追記:2022年03月01日 外部補償、内部補償
- 変更追記:2022年02月26日 ラフト
- 変更追記:2022年02月26日 バッグファン
知っておいた方が良い項目順です
枠(ブリムとも言う)
【追加】項目の下の方
他のスライサーでは「ブリム」と言います。出力物1層目の周囲に帽子のつばのように「マージン」の大きさだけ層を印刷します。(現時点のFlashPrint5で設定できる最大サイズ10mm、最多レイヤー数は5)ベッドに密着する面積を増やせます。細くて高い物を印刷する場合や、反りやすいフィラメントを使用する場合などに使った方がいいです。印刷中にベッドからはがれにくくできます。上へ行くほどグラグラしだすのを軽減できます。この設定は重要です。ほとんどの場合、レイヤー数は1で大丈夫です。印刷を開始した時、ブリムの各ラインがバラバラになってくっつかないような状態であれば、中止してベッドレベリングを調整した方がいいです。ノズルが適正高さよりも0.1~0.3mm高くなってしまっています。
バッグファンの状態、バックファンの速度
変更追記:
【冷却】項目の一番下
同じことを言いたいはずなのに明らかに誤字です。ケースファン、排気ファン、のことですね。3Dプリンターの箱から排気するためのファンのこと。これを動かすと箱の隙間から外気を吸い込んで、後部上面から排出されるようです。特に室温の低い冬場は、私は基本的に常時OFFにしています。これを動かすと、せっかく温まった箱の中へ冷たい空気が取り込まれ、温まった箱内の空気が排出されてしまいます。それが原因で出力済みの樹脂が急冷され、冷たい空気が入り込んでくる場所に近い部分から収縮が起こり、ブリムを使っていても端からめくれてしまったりするからです。逆に夏場は室内温度が高すぎる場合は常時ONにしておいた方がいい場合もあります。これは出力済み品の表面を見ると判断できます。横に直線ではなく、ゆるくなって垂れたような部分が発生している場合です。室内温度が高くて、こういう症状が出ている場合は、排気ファンを常時ONにしておくと改善されることがあります。それでも改善されない場合は、前面扉を開放状態にするとか、更にはそこに扇風機で風を送り込むとか、試してみるのもいいと思います。
重複周囲
【外枠】【モデル内の充填率】
これは「外枠」と、「モデル内の充填率」と、2箇所にある。「どれくらい重ねてくっつけておきますか?」ということ。ホットエンドユニットのノズルから半分溶けた樹脂を押し出しながら線を引いていくので、同じ高さの層の樹脂でも隣や周囲と重ねれば重ねるほど頑丈になる。重ねすぎるとモコモコと表面が荒れる可能性もある。強度が必要ないならそれほど重ねる必要はないが、見た目と強度を両立したい場合はこの数値も重要になってくる。
印刷開始地点
変更追記:
【外枠】印刷開始地点モード
■特定の場所に近い:XY地点を指定できる。その地点から一番近い位置からレイヤーが印刷され、そこにタテのスジができる。
■開始地点をランダムに設定:各レイヤーの印刷開始地点をわざと違う位置にして、タテのスジにならないようにする。が、樹脂の種類やノズル温度によっては各開始地点に「点」のような盛り上がりができることがある。
■インナーリセスポイント:外形のくぼんだ場所を開始地点にして、タテスジが目立たないようにする。
※ほとんどの場合は、インナーリセスポイントにしておくと良い。
積層ピッチ
追記:
【一般的な】項目
「固定レイヤー高」、「可変レイヤー高」がある。
ほとんどの場合「固定レイヤー高」で使用すると良い。
■積層ピッチ:1層目以外の全てのレイヤーの各層の高さを指定する。0.15~0.2mmが一般的。積層ピッチを低くすると頑丈になるが、その分フィラメントを多く消費し、印刷時間も長くなり、重量も増える。
■モデル一層目の厚み:1層目のレイヤー(層)の高さ。0.2~0.3mmが一般的。一層目だけ少し厚く設定するのは、定着力を高めるため。1層目がうまくいかないと途中で反(そ)ったり、はがれたり、全てがダメになってしまうので、確実にベッド(プラットフォーム)にくっつかせる(定着させる)ことが最重要。
■可変レイヤー高(積層モード):これを選択すると下部に「+」記号が表示される。ピッチの指定単位は「パーセント」。指定したレイヤーへ向かって徐々にレイヤーピッチが減っていき(指定レイヤーだけ積層ピッチが変更されるわけではない)、指定レイヤーが指定したピッチで積層される。その後また上部の「積層ピッチ」で指定された数値へと数層掛けてゆるやかに戻る。レイヤーを2つ指定し、同パーセントを指定すると、指定した2つのレイヤー間は全て同ピッチで積層される。
押出率
【高度な】項目
「1層目」と、「それ以外の全部の層」の樹脂の押出量の設定ができます。1層目はノズルとベッドの隙間をどのくらいにしているか、どんな樹脂を使っているか、によって適正数値が変わってきます。それ以外の「押出率」は積層強度とも大きく関係してきます。積層強度が弱いようなら100%にしてみて下さい。更に強くしてみたいのなら105%にしてみて下さい。改善されないようなら、それ以上は他の問題、ベッドレベリング、ノズルの高さ、樹脂の善し悪し、室内温度、などに問題があるかもしれません。そちらの問題も疑って解決した方がいいかもしれません。ソフト設定上200%までは上げられるようになっているようです。私はいつも第一レイヤーを95%、それ以外の押出率を100%にしています。
印刷開始時1層目(ブリムなど)を見ていて、モコモコと樹脂の量が多い感じで荒れている場合は、1層目の押出率を減らすときれいになります。印刷後にブリムも除去しやすくなります。
※樹脂とは、フィラメントのことです。
シェル・カウント
【外枠】項目一番上
外殻、外壁の厚さ、外層数、(パス幅が0.40mmであれば、シェルカウントを3にすると外側は1.2mmの厚みになる)私はいつも3(1.2mm)にしているが、強度が欲しい場合は5(2.0mm)にしている。
※多くすると強くなるが、それだけフィラメント使用量が増え、重量も増え、印刷時間も長くなります。
充填率
【モデル内の充填率】項目上から三番目
指定したパターン(模様)で内部を埋める量を指定する。100%にすると全部フィラメントで完全に埋め尽くされる。フィラメントのカタマリみたいになる。(設定だけ試しにやってみるとわかる)私はいつも六角形のパターンを使い、25%にしているが、場合によっては15%にしたり10%にすることもある。
※多くすると強くなるが、それだけフィラメント使用量が増え、重量も増え、印刷時間も長くなります。
プレ押し出し
【追加】項目一番上
印刷開始時はノズルの中の樹脂が垂れ出てますよね。そのまま本番出力開始してしまうと、その周辺は必ず荒れてしまいます。出る量が足りなかったり、垂れた樹脂がヒゲのようにくっついたり。それを予防するためにあらかじめ少し事前印刷を行ってちょうど良い状態にするための設定です。有効にしておいた方が良いと思います。(動き始めに垂れ出ている樹脂は、ノズルがベッドに到達する直前に長いピンセットなどで除去した方が良いです。ノズルやノズルファンに当たったり引っかかったりくっついたりして、ブリムや印刷物がはがれる原因になります。)
外部補償、内部補償
追記:
【その他】容量を調整する
外径と内径の微妙な誤差調整値を入力しておくと、FlashPrint5(スライサーソフト)がその値の大きさのプリント用データに仕上げてくれる。フィラメントの種類や、プリント時の環境などによって、実際の出力物は微妙に寸法が違ってしまうため(わずかに大きくなりがち)、スライサーソフト側で微妙な調整ができるようになっている。3Dソフトであらかじめ調整しようとすると手間が増えることもあるため、この設定を利用すると手間を減らして作業時間短縮が可能。
■外部補償:外側のサイズ。マイナス値を入力しておくと良い。「-0.2mm」くらいでちょうど正確なサイズになる様子。
■内部補償:穴などの内側のサイズ。プラス値を入力しておくと良い。「+0.2mm」くらいでちょうど正確なサイズになる様子。
凹凸はめ込みの場合は、それぞれをプラスとマイナスの0.3mmにしておくと、きれいにはまる。(MODERA PLA だと0.25mmでもはまる)
※使用している樹脂の種類・状態、3Dプリンターの精度・状態、出力物サイズ、室内気温・湿度、などの条件の違いによって結果が異なることがあるので、一度出力した物を見て再調整する必要があると思っておいた方が良い。
アイロニング
【高度な】項目下の方
樹脂を少量だけ出しながら最上面を高温状態のノズルでなでつけて、きれいに平面にする設定です。その分完了時間が遅くなります。きれいにはなりますが、最上面が広めの平面でなければ無意味です。
ラフト
変更追記:
【ラフト】項目一番上
「はがれにくくするため」「底面をきれいにするため」という解説が多いですね。3Dプリンター購入初期の頃、私はそれを信じて使用していましたが、実際は底面はきれいにならず、出力中にはがれやすかったり、逆にラフトそのものが出力品本体にくっついてしまって取れなかったり、というトラブルが頻繁にありました。
3DプリンターのFlashforge Adventurerシリーズの場合は、ベッドレベリング調整をしっかりと行い、プラットフォームシートを3M(スリーエム)の物に貼り替え、特に冬場はケースファンを常時OFFにすることで、ベッドへの定着は完璧になりました。
Anycubic Mega-s などの、ベッドがガラス系の3Dプリンターの場合は、ベッドレベリング調整さえしっかりとできていれば、はがれる心配はありませんでした。
接地面積が少ない場合は「枠(ブリム)」を使えば解決できます。私がブリムを使う時は10mm付けています。ですので私は今はもうラフトは使用しません。もちろん必要だと思えば躊躇なく使用しますが、今のところ必要だと思ったことは一度もありません。
Fuzzy Skin(ファジースキン)
【高度な】項目一番下
直線であっても外殻表面だけが、ガタガタ小刻みにゆれながら描かれます。そのためチョコケーキのように波打った表面になります。「OutsideOnly」を「いいえ」にすると「穴の内側表面も」ガタガタになります。底面、上面、インフィルに影響はなく、通常通り直線で描かれます。
壁
【追加】項目上の方
樹脂だれを防止したり、ABSなどの出力済みの物をなるべくゆっくり冷やしたい場合に使ったりするそうです。私は必要性を感じたことがないので使ったことはありません。詳しく知りたい方は検索してみて下さい。
連続印刷
【その他】項目一番下
この設定を「はい」にすると、STLファイルを複数個、ベッドに置いて印刷する時、1個が下から上まで完全に積層完了してから次の1個を印刷開始します。これは危険を伴うので使わない方が賢明かと思われます。正しく実行しようと思うと色々計算しなければならないので手間がすごく掛かります。1個完了してから、ということをしたいのであれば、1個ずつ印刷した方が安全です。
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