室温が低いと芯が残ったパスタが出てくる
基本的な構造として、
ノズル温度を計測しているセンサーは、本来計測したいノズル中心部よりわずかに離れた場所に設置されている。
物理的にノズルの中心部にセンサーを設置することはできないから。
想定されている温度範囲よりも低い室温で3Dプリンターを動かしていると、ノズル内部では何が起こっているか。
ノズルの適正な温度は、センサーから送られてくる数値に反応して、
「ヒーターON!」
「ヒーターOFF!」
を繰り返して微妙な適正温度範囲を保とうとし続けている。
3Dプリンターが動いている間はずっとだ。
当然のことだが、外から送られて入って来るフィラメントは必ず、正しく溶ける温度よりも低い。
が、それが想定されているよりも冷たすぎるとどうなるか。
冷たすぎるフィラメントが次々と強制的に送られてくる。
そうするとセンサーが冷えるので、ヒーターはもちろん温度を上げるわけだけど、
その瞬間、ヒーターの周辺は素早く必要な温度まで上がる。
少し遅れて、温度センサーの周辺も温度が上がる。
が、冷たい、想定以上に低い温度のフィラメントが次々と送られ続けると、
ノズルとフィラメントが接している内壁ではフィラメントがかなり溶けているのに、
フィラメントの中心部では充分な温度になる前にノズルから出て行ってしまう。
ということが起こっているのではないかと思われる。
溶けたら潤滑剤になってしまって
充分に溶けていなくても、本来目指している適正な状態の一歩手前までは高温によって柔らかくなっているので、
上からドンドン押され、流されてくるフィラメントによって、ムリヤリ押される。
ノズルそのものは適正温度になっているので、ノズル内側、内壁に接しているフィラメントは確実に溶けている。
それが潤滑剤になってしまって
芯が残ったパスタ
のような状態でフィラメントが押し出されてしまう。
ということが想像できる。
芯が残ったパスタはうまくくっつかない
中心部が充分に溶けずに押し出されてしまった パスタ フィラメントは、
当然ながら、他のフィラメントとくっつく力が弱い。
その状態がどんどん、積層されていく。
おい、これ、ちゃんとくっついてないよ!!
誰もそんな状態であることを教えてはくれない。
そのままの状態で、どんどん、ただ黙々と押し出され、積層されていく。
上が重くなってくるとズレが出始めたり、はがれてきたりすることもあるかもしれない。
雪崩が始まった!!
でもその瞬間にそれを見ている人間がいなければ
3Dプリンターは、
そんなことは知らん!!
と、そのまま与えられた使命を全うし続ける。
ということが起こっているのではないだろうか。
3Dプリンターは、
あー、これはあきまへんなあ
などと思ったりしないのだから。
追記:2
室温が低すぎるということは、
ノズルから出たフィラメントがすぐに冷えてしまう。
細かいことを言えば「フィラメントの外側から急速に冷える」ことになりますね。
そうなると吐出済みのフィラメントと溶着しなくなってしまう。
というのも大きな原因の一つだろうと推測できます。
じゃあ、どないすればええっちゅーの
変更追記:
大きく分けて3つの方法があると思います。
まずはどれか1つ。
- 室温を上げる(20℃前後以上に)
- ノズル温度とベッド温度を上げる
- 保温材を巻く
狭い部屋に無理に暖房器具を置くと、火事になる危険性や、酸欠になる危険性があります。
【ノズル温度、ベッド温度】
そういう懸念がある場合は、ノズル温度とベッド温度をまずは上げてみましょう。
「フィラメントに書かれている上限温度」で試してみましょう。
それで改善が見られ、あともうちょっと試したいと思われるなら、
ノズル温度を+5℃、ベッド温度を+5℃上げてみましょう。
【保温材】
もう1つは、「3Dプリンター全体を覆うように保温材を巻く」、方法です。
これは元々ケースの無いオープンタイプのAnycubic Mega-sなどの3Dプリンターで「やるといいよ」と言われてきた手法です。
風呂用保温シートなどを切って、大型ホッチキスか手縫い(糸)で結合させ、開閉する前面と右側部分だけは目玉クリップ大で固定すると使いやすいのではないでしょうか。
下にも敷いた方が効果的です。
※排気ファン(FlashPrint5では「バッグファン」と書かれている)は動かさないで下さい。
※オープンタイプの3Dプリンターに保温シートを巻く場合は、耐熱シートを使用して下さい。
【ベッドレベリング、フィラメントの状態】
ここまでやって良くならない場合は、「ベッドレベリング」と、「フィラメントの状態」が良くない可能性が高いです。
- ベッドレベリング調整、1番重要です。
- フィラメントの状態、これも1番重要です。
まずはこの2つをきっちり良い状態にして下さい。
その後で、上記をよく読んで再トライしてみて下さい。
下記リンクも参考にして下さい。
特に現状の「Adventurer4 の9点キャリブレーションがどういうものなのか」理解しておいた方がいいです。
微妙なベッドレベリング調整はこちらを参考に実行してみて下さい。
消火器を買っておきましょう!
安全第一です。
3Dプリンターを信用してはいけません。
高熱になるので危ない!!
当たり前のことなんですが、盲目的に信用しすぎると本当に危険です。
できるだけ自分がその場に居て監視できる状態で動かしましょう。
どうしてもその場に居られない場合、せめて家族には、
- 3Dプリンターの正しい止め方
- 3Dプリンターの異常はこういう状態
- いざという時は電源OFF
- 家が燃える前に消火器を使え
ということを教えておくべきです。
自分が勝手に3Dプリンターを動かしておいて、
留守にして、
外出先で突然知らない番号から電話が掛かってきて、
「家が全焼しました。ご家族が病院に運ばれました。」
ということにはなりたくないでしょう。
安全第一です。
消火器を少なくとも2つは購入しておきましょう。
1つは玄関の近くに。自分の家にも、屋外、近所の家に対してもすぐ使えるように。
もう1つは3Dプリンターを設置してある室内に。
できればもう1つか2つ、スプレー缶タイプの小型の消火器もあると良いです。初期消火に良いサイズですし、子供や女性や年配者にも使いやすいです。
消火器の位置、
消火器の使い方、
これらも家族できっちり共有しておくと安心です。
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