2022.06.22 [水]
光造形方式の3Dプリンターを使い始めた感想

FDM(FFF)方式の3Dプリンターを使い始めて5年、合計7台購入しましたが、今回初めて光造形方式の3Dプリンターを購入しました。
ANYCUBIC Photon Mono 4K です。
実際に使ってみると色々わかったことがありました。
買おうかどうしようか迷っている方の参考になれば。
アマプロ以上の方にしかおすすめできない
- 水洗いできるレジンであっても有毒ガスが発生する。明らかにヤバイニオイがする。
- 「有機溶剤作業用マスク」を購入して作業時は装着することをおすすめします。(2千円以下で購入可能)
- レジンは手についてもダメな有毒物なので手袋が付属してる。
- IPAで洗えと書いてあるが、そもそもIPAも危険。
- 1年中換気可能な(光造形方式3Dプリンター)専用の部屋で使用しないと、自室などの狭い部屋や寝室などで使用するのは自殺行為に等しい。
- 日当たりの良い部屋で作業するとレジンが硬化する可能性が高い(フタを開けて取り出し、レジンの追加など行う)ので、日中作業するなら日光が入らないように。
- レジンもIPAも有毒でガスも発生するので、ペット、小さい子供、気管支の弱い方、目が離せないような成人がおられるお宅など、で使用してはいけない。
FDM(FFF)方式に比べると優れてる点
- 0.2x0.2mmの太さの柱でも出る高精細。(使用LCD3Dプリンターは4K)
- ものすごく静か。ベッドを1レイヤーごとに上昇させるためのステッピングモーターの作動音が数秒に1回聞こえるだけ。その音もFDM(FFF)方式に比べればものすごく静か。ファンは付いてない。
手間とコストが掛かる点
- 手袋とマスクと換気できる作業環境が必須。
- 水洗いレジンの場合、換気しつつ有毒なレジンを大量の水で洗い流せる場所が必要。洗い流すのは有毒なレジンなので、きっちり自分が管理できる場所でなくてはならない。食器、調理器具、食品などにはね飛んだりするような場所ではダメなことは言うまでもない。
- (水洗いレジンの場合)出力された物を水洗いして完了、ではない。その後、UV(405nm)ライトか、太陽光に当てて、仕上げの硬化作業が必要。二次硬化器はSK本舗製、ELEGOO製で1万円以下。その他市販品は1万円以上。ネイル用のUVライトも使えるが、高さがない、短時間タイマーしかないなど、安価ではあるが使い勝手は良くない。秋月電子で販売されている5mmのUVLED(405nm、半減角30°、10個入250円、OSSV5131A)で自作するという方法もある。手間は掛かるが安価な上に使い勝手やサイズもアイデア次第。他に市販品のUVライトを使うという方法もあるが、目がやられないよう取り扱いに注意が必要。
- しばらく使用しない場合は、3Dプリンターのパッド(レジンタンク、マテリアルトレイ)に残ったレジンを密閉できる容器に移し替えておかないと、無駄に有毒ガスを発生させ続け、レジンも劣化が早まる。
- レジンを移し替える時にこぼれても大丈夫な敷物(新聞、ペットシーツ、段ボールなど)や囲いが必要な上に、こぼれたレジンを拭き取ったり、パッドを洗って拭き取るためのティッシュあるいはキッチンペーパーやキムワイプも毎回必須。(換気、マスク、手袋必須)
- 今回新品の状態から数個プリントしてみた後、しばらく使用しないので片付けを実行してみたが、パッド底面(透明フィルム)に汚れが付いていて、水洗いや中性洗剤である程度はきれいになったが、完全にはきれいにならなかった。(無水エタノールを使うと安全にきれいにできるらしい)
- パッド底面がこれほどすぐに汚れ、簡単に落とせないということは、このパッドも消耗品として考慮しておく必要がある。
FDM(FFF)方式との違い
- (出力物の高さが低いと)開始から終了まで、ほぼ何がどうなってるのかまったく見えない。不具合が起こっていてもわからない。そのため最後まで完了してからしか失敗か成功かがわからない。(レジンパッドのフチの高さ以上のブツを出力する場合は、その高さを超えると見えるようになる)
- 光造形方式専用のスライサーソフトが必要。
- ファイル形式は3Dソフトで「stl」ファイルにして、スライサーソフトで「pwma」ファイルにしてから、3Dプリンターへ。
- 作動中に見ていると、UV光によって硬化され積層されていく面は、レジンパッドの底面にくっついて硬化されている。次のレイヤーが積層される前にやや高めに引き上げられるのは、たった今硬化されたレイヤー面がレジンパッド底面に本当にくっついているので、毎回それを引き剥がすために(音をよく聞いていると毎回バリッという音がする。面積が大きいと音も大きい)やや高めに引き上げられ、そして次レイヤーの高さに合うように絶妙に下げられている。終わるまでそれが繰り返されているので、第一レイヤーはそれに耐えられるだけの面積を確保しておかないと、落ちてしまう。同じようにサポート材もそれに耐えられるだけの断面積が必要。
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